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トヨタ 自動運転の進化と課題

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 「ここから自動運転に切り替えます」。首都高・有明の料金所を通ってすぐ、ドライバーはそう宣言してハンドルにある自動運転モードのボタンを押した。自動運転のスタートである。

【詳細画像または表】

 もっとも、何か変わったことが起こるわけではない。本線への合流では通常通りにウインカーを出し、走行車線に滑り込んだ。ごく当たり前の運転である。前方を見ている限り、自動運転かそうでないのかはわからない。

 ただ、ドライバーに目を向けるとハンドルから軽く手を離している。そのハンドルが小刻みに動いているのを見て、自動運転だということが実感させられた。よく見えないが、足もアクセル、ブレーキを踏んでいない。

 首都高らしい、きついカーブもスムースに曲がる。その先の合流地点では、合流する右側車線を走る車両が離れていたこともあり、若干速度を落としただけでストレスなく合流。その後、出口へ向かうために右側車線への車線変更を2度行い、料金所の手前で手動運転に切り替えた。交通量が多くないこともあってか、違和感なく自動運転の同乗体験は終了した。

■ 車線変更が行えるまで進化

 自動運転車は、世界各国の自動車メーカー、米グーグルなどのIT企業、自動車部品メーカーなどが開発競争を繰り広げている。近年、自動車産業ではもっともホットな領域の一つだ。

 トヨタ自動車はこのたび2020年頃に高速道路の料金所から料金所までの自動運転の実用化を目指すと発表。記者はその実験車に試乗する機会を得た。

 トヨタの自動運転車は2年前にも試乗している。当時は基本的に同一車線を走り、合流や分岐、車線変更ではドライバーが行ったが、今回は合流や分流、車線変更も自動で行えるまでに進化した。自動車に搭載された複数のセンサーとカメラが周囲の状況を認識し、高精度地図情報と照合しながら、最適な車線を選んで走行する。

 自動運転では、メルセデスベンツやボルボが高速道路で半自動に近いシステムの搭載車両を発売済み。アウディや米GMは2017年に高速での自動運転を実現するとしている。

 はたしてトヨタは遅れているのだろうか。「このレベル(高速道路での車線変更を含む)で信頼性ある自動運転を2020年ごろに実現すれば、十分に競争力があると思っている。この領域の競争は極めて激しいが、トヨタが劣っているという認識はない」。BR高度知能化運転支援開発室の鯉渕健室長は自信を示す。

 一言で自動運転といっても性能や信頼性の差は大きい。すでに実用化されている自動ブレーキにしても、作動する条件や実際に止まれる速度はピンキリ。まして、商品化前の段階で技術の優劣を語るのはあまり意味がないのかもしれない。

■ トヨタは1990年代から自動運転を研究

 一般に「トヨタは完全自動運転に積極的ではない」と見方がなされている。というのも、豊田章男社長や幹部が「あくまでドライバーが主権を持つ。車を操る楽しさと自動運転を両立させる」といった趣旨の発言を繰り返してきたからだ。こうした発言が完全自動=無人運転を目指すグーグルとの対比で、トヨタは自動運転に積極的ではないというイメージにつながっているのだが、決してそうではない。1990年代から自動運転技術の研究を開始し、日米で公道試験も繰り返している。「完全自動の研究開発も当然やっている」(トヨタ役員)。

 完全自動や無人運転となれば、自動車メーカーだけでは実現できない。法制度の整備はもとより、社会的なコンセンサスも不可欠だからだ。責任ある立場で軽々しく「完全自動運転を目指す」と言えないというのが従来のトヨタの立場だった。

 今回、トヨタは自動運転に対する自社の考え方を「モビリティ・チームメート・コンセプト」として打ち出した。車と人が同じ目的で、時に見守り、時に助け合う、仲間のような関係を築く――これもわかりやすいとは言い難いコンセプトだが、すべての人、高齢者や身体の不自由な方に移動の自由を提供するということを打ち出すことで、完全自動運転もターゲットにあることを示した。

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