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100円ショップ銘柄活況、遠のく脱デフレ 日銀疲弊、成長戦略具体化へ政府の出番

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 日本銀行は1日、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、物価上昇目標「2%」の達成時期を従来の「2017年度中」から、「18年度ごろ」へと先延ばしすることを決めた。物価目標の達成時期の先延ばしは、13年4月に異次元の金融緩和いわゆる「黒田バズーカ砲」が口火を切ってから5度目となる。

 無理もない。直近9月の消費者物価指数は7カ月連続で下落した。これに伴い、16年度の平均物価上昇率見通しも従来のプラス0.1%から、マイナス0.1%に引き下げた。年度ベースで4年ぶりのマイナスとなる。

 株式市場は日銀の2%物価目標の先延ばしを予見するかのように動いた。日経平均株価が1万7000円台を安定的に回復したのは10月下旬になってから。相場全般の回復より早く、デフレに強い一連の銘柄群が9月初めから戻りのピッチを一斉に速めていたからだ。例えば、100円ショップ銘柄だ。キャンドゥ株は10月25日に年初来高値を更新した。セリア株とワッツ株も年初来高値に肉薄している(1日現在)。キャンドゥは今期の利益見通しを増額修正し、セリア、ワッツの両社も今期の増益を見込む。

 牛丼大手3社の株価も同様だった。「すき家」を展開するゼンショーホールディングス株は1日に年初来高値を更新。吉野家ホールディングス、松屋フーズの両銘柄も10月末に年初来高値を更新した。ほかにニトリホールディングス、回転すしのくらコーポレーション、しまむら、ドンキホーテホールディングスなどデフレに強い業態の銘柄群の株価が堅調だった。

 今春、マスコミで「値上げの春」の見出しを付けた記事を多く見掛けた。4月から塩やアイス「ガリガリ君」がほぼ4半世紀ぶりに値上げされ、調味料、加工食品の多くが上がったからだ。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの入園料、劇団四季の公演チケット代も上がった。

 値上げの春を額面通り受け取って、デフレ脱却が順調に進むかのように判断したのは早計だった。銘柄物色の流れを見る限り、株式市場はデフレマインドの転換が大きく遅れると見切った。結果は消費者物価指数の7カ月連続下落だった。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長は10月の記者会見の席上、「(今は)値上げの時期ではない」と語っている。

 東京私大教連が今春に調査、発表した数字が忘れられない。首都圏周辺の私立大学に通う下宿生、寮生の仕送り、生活費である。15年度の親元からの仕送りは出費が落ち着く6月以降の平均で月額8万6700円。15年連続で減り、ピークだった1994年度に比べ約3割少なくなった。家賃を除いた1日当たりの生活費は850円で、比較可能な86年度以降では過去最低を更新したという。アルバイト時給が1000円を超えたくらいでは追いつかない。

 デフレマインドの転換、デフレ脱却の即効薬は所得の増加だろう。マイナス金利策の奇手まで打った日銀の異次元金融緩和は疲労、疲弊した。日銀に代わって出番を迎えているのは成長戦略を具体化に移す政府である。

                  ◇

【プロフィル】加藤隆一

 かとう・りゅういち 経済ジャーナリスト。早大卒。日本経済新聞記者、日経QUICKニュース編集委員などを経て2010年からフリー。67歳。東京都出身。

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